
Aマーケティングパート
手順3
手順1と2を踏まえ、カスタマージャーニー(購入プロセスの各段階で顧客が経験する心理や態度の変化の過程)に沿う施策を講じるとともに数値目標を設定する
⑧カスタマージャーニーの各段階の対応策を整理、数値目標を設定する
手順1、2と深めていくとやるべきことが見え、勝ちパターンがイメージできるようになってきます。手順3ではその勝ちパターンを具現化していきます。そこで手掛かりとなるのが、カスタマージャーニーです。顧客にとっては成約・購買の意思決定をするまでに、自身のニーズを自覚し(認知・興味)、商材を探し・比較する(行動・比較)、問い合わせるといった多くのプロセスを経ています。その後、成約・購買して利用した段階で体験価値が生まれ、満足度がロイヤルティに変わり、SNSなどでシェア(共有・ファン化)することもあります。この顧客の長い時間軸の道筋のことをカスタマージャーニーとよび、この顧客の旅に伴走しながら、顧客の各段階に応じて接点を設けて働きかけをしていくことが大切で、これを取り入れている企業が多いです。
SNS戦略として、ULSSASも意識しておくと良いでしょう。ULSSASの起点は、自社の投稿や広告配信です。これらにユーザーが「いいね!」を付けた後、SNS内での検索、GoogleやYahooでの検索と続き、購買、シェアと、行動が変化していきます。
認知・興味
顧客が商材を認知して興味をいだいた状態。広告やSNSで、商材の存在に初めて触れ、必要性を感じる。
なので施策としては、ターゲットが目にするであろう媒体に広告を掲載したり、チラシやフリーペーパーを配ったり、独自性を理解してもらうためのコンテンツを作成して公開したりする。
情報収集、比較検討
商材について、自ら検索して情報を集める。商材の詳細や口コミを確認したり、競合他社と比較したりして検討する。テスト導入をしてみたりもする段階。
なので施策としては、Webサイトに集まってきたアクセス数の分析をして、こちらが見てほしいページを見てもらえているのか、見てもらえていないとしたらどこでWebサイトから離脱してしまっているのか確認し、見てもらえるようにページを手直しする。過去にサイトへ訪問した人を対象としたリスティング広告をする。
購入・利用・導入
実際に商材を購入し、商材を利用する段階。
なので施策としては、契約から商材購入、利用までがイメージできるようなコンテンツを増やす。
継続・ロイヤル化
商材購入後の状態。商材に愛着を持ち、リピート購入などにつながる。
なので施策としては口コミしてくれやすい、他の人に紹介してくれやすいなどの仕組みづくりをする。
【ケーススタディ・森の村が「売上アップホームページ」のデザインにチャレンジ⑧】カスタマージャーニーの各段階の対応策を整理、数値目標を設定する編
⑧森の村のカスタマージャーニー編

まず認知・興味のフェーズについてです。

対象顧客は、仮に森の村のおせちを「安心・美味しい・ちょうどいい~いいとこどりおせち」とすると、その存在を知らない人で、おせちを買おうと考えているわけではないけれども、お正月の食卓をどうしようかと思っている人や、何らかのおせちを買おうと考えている人。加えて「安心・美味しい・ちょうどいい~いいとこどりおせち」を認知はしているけれども興味を持っていない人。

売り手の森の村としては、森海の「安心・美味しい・ちょうどいい~いいとこどりおせち」の存在をこうした顧客に周知して、このおせちそのものとその背景にあるそれぞれの素材(村の産物)や村自体に興味を持ってもらうこと、安全安心な素材を摂取するというお客さま自身のライフスタイルへの関心を持ってもらうことが目的ってことですよね。
なので「安心・美味しい・ちょうどいい~いいとこどりおせち」は環境保全活動に熱心な森の村で生産した安全安心な水や素材を使ったおせちと素材のセットなので、環境保全活動に熱心な人が目にするであろう媒体や、食の安全安心を求めている人が目にするであろう媒体、おせちを買おうと考えている人が目にするであろう媒体、お料理好きやお料理に興味を持っている人が目にするだろう媒体への露出などがいいのかなと考えています。

何を始めるにしてもまずやることとしては、森の村の環境とそこで生産する物産の安全安心なことを表すブランド名とマスコットであるめぐりんの周知、どういう村の安全・安心・環境保全規格を満たすとこのブランド名めぐりんが使えるのか、ということを告知するとともに、村の物産のパッケージなどすべてに刷り込んで告知するってことですよね。

そしてタッチポイントとしては環境保全活動に熱心な人向けに、ということであればアウトドアなどもする人とも考えられるので、道の駅や生産組合の直売所は、登山やキャンプをする人が食材調達をする立ち寄り地になっていますから、そこでパッケージやチラシ、ポスターなどでブランドめぐりんの告知と「安心・美味しい・ちょうどいい~いいとこどりおせち」の告知をしたらどうでしょう。

食の安全安心に関心が高くすでに村の直売所やふるさと納税などから産直物産を買っている層向けに、ということでもパッケージやチラシ、メールマガジンなどでブランドめぐりんと「安心・美味しい・ちょうどいい~いいとこどりおせち」の告知をしましょうよ。
市場経由でスーパーなどで買ってくれている層にむけても、ブランドめぐりんと「安心・美味しい・ちょうどいい~いいとこどりおせち」をパッケージやポスター、ポップなどを通じて告知できますよね。

姉妹都市の海の村の直売所や道の駅、産直などでも同様にブランドめぐりんと「安心・美味しい・ちょうどいい~いいとこどりおせち」を告知してもらいましょうよ。

食の安心安全を強みに無農薬や有機栽培、無添加食材を販売しているサイトや店舗で試験的に森の村の生産物を取り扱ってもらったり、その際にパッケージやチラシ、ポスターなどでブランドめぐりんや「安心・美味しい・ちょうどいい~いいとこどりおせち」を告知してもらったり、メースマガジンで紹介してもらったりできるようにお願いしませんか?

SNSを利用してブランドめぐりんや「安心・美味しい・ちょうどいい~いいとこどりおせち」の告知をしたり、森の村の絶景写真や無農薬や無添加で味や風味、色合いが濃い生産物の映える写真、名水の美しさが伝わる映える写真などを村の環境保護活動のストーリーとともにアップしたりして村の生産物や村自体を知ってもらいましょうよ。動画配信チャンネルやサイトを利用して、村の素材の良さを生かした調理法で簡単に作ることができる料理の調理動画もどんどん紹介しませんか?

売上目標からブレイクダウンしてくると、発信の規模感ってどのくらいにしますか?販売告知の発信はさまざまなチャネルでやりますけれど、おせちセット自体は村の直販で発送は村から消費者に直送、注文は村が電話と専用サイトで受けますよね。仮に10,000円分を10,000セットつくるとして、完売するには、これまでの村の産直ホームページへの流入数や、道の駅や直売所の村外利用者に対して、実際に産直やふるさと納税の契約数がどれくらいあったのかということが、手持ちのデータとしては参考になりませんか?どのくらい告知の発信をしたら、どのくらい流入してきて、どのくらい契約に結び付く、だから目標が10,000セットなら、どのくらいの流入が必要で、どのくらいの規模感の発信が必要って。

情報収集・比較検討フェーズについてです。

顧客は「安心・美味しい・ちょうどいい~いいとこどりおせち」や村の素材、村そのものについて情報収集したり、他のサービスと比較検討したりする段階です。ですので村としては、ホームページを充実してコンテンツを整えておく必要がありますよね。村のKSF(Key Success Factor成功要因)と、顧客のKBF(Key Buying Factor:重要購買決定要因)がストレスなくマッチングできるように、情報提供をホームページでするということですよね。

これまで手順1、2と分析を進めてきて、自分好みのちょうどよい(コスパ)おせちを時短で仕立てて(タイパ)満足度が上がる顧客ニーズをターゲットに、競合のコンビニのセレクトおせちとミールキット業界の半セレクトおせちに対して、村は人気のおせち6品目とお野菜やお肉などのすき焼きやお鍋などハレ膳に使える素材を映え小物(奉納切笹、合格しおり)とセット販売し、しかもこれらすべての素材が環境保全活動下で安全安心な製法で生産しているブランドめぐりんの規格を満たすもので、生産・加工・販売を一貫して村が担うことで中間コストが省かれて良いものを値ごろで提供できる、この差別化と付加価値のポイントをホームページのコンテンツとして情報提供していくってことですよね。

村の環境保護活動や村の生産物のストーリーも、もう少し深く、でもコンパクトに、しかも映える感じで、コンテンツ提供したいですね。同様に村の素材の良さを生かした調理法で簡単に作ることができる料理動画もコンテンツをそろえたいですね。おせちに付ける奉納切笹、合格しおりも、神社のいわれも含めて作る過程をコンテンツ提供したいですよね。

並行して、集まってきたアクセス数の分析も必要ですよね。これらの村が見てほしいページが実際に顧客に見られているのか確認して、見られていないとしたら見てもらえるような改善が必要ですよね。見てもらわないことには良さが伝わらなくて、申し込みにつながらないということですからね。見に来てくれていても離脱が早い、多いということなら、顧客が知りたい情報がそこにないのかもしれませんし、あってもわかりにくいのでもういいやとなったのかもしれませんし。逆に読まれているのに申し込みが伸びないということなら、想定したターゲット層が間違っているのでPRのミスマッチが起こっているのか、このおせち自体に魅力がないのか、見極めて軌道修正が要りますし。

購入・利用のフェーズについてです。

購入する段階ですが、何か気がかりなことがあって踏み出せない顧客に向けて、不安を解消してもらって、背中を押すコンテンツとして、例えばセット内容をもっと詳細に紹介するとか、つまり煮豆1袋100グラムと書いてもどのくらいなのかわからないですよね。100グラムは何人前程度なのか、よく使う器としてごはん茶碗程度の器によそうとしたら、小盛一杯程度で写真画像だとこんな感じで、納品は真空パックでこんな感じで届くといった写真画像、冷蔵庫で開封後は保存何日とか、そういう情報があると、顧客が自身の追体験として判断しやすいわけですよね。お肉にしてもお野菜にしても、どのような分量(総グラム数でなく大玉何個とか小玉何個とか小分け何グラム入り何パックとか)や荷姿(小分けにした真空パックなのか、おおざっぱに1つのトレイに大盛なのか)で自身の手に届くのか、保存は常温なのか冷蔵なのか冷凍なのか、食べるときには解凍はどうするのか、開封後はどうなるのか、そうしたことが画像や動画とともにわかると、たちまちに自身のこととしてイメージできるわけですよね。そういうコンテンツが必要ですよね。

買おうと考えている顧客が不安を払しょくできるようにということでしたら、例えば同じおせちセットを先行試用するスタッフの動画とか、盛り付けや調理、保存に際して実感したちょっとしたポイントなども盛り込んで公開するといいと思います。

継続・ロイヤル化フェーズです。

おせち事業は、村の無農薬無添加で遺伝子組み換えなどをしていない安全安心な食材、ブランドめぐりんの商材を継続的に購入してもらうことが目的なわけですから、おせちを買っていただいた後のフォローも大事ですよね。アンケートなどでお客様の声を集めて、きちんと対応していくことが大事と思います。

お客さまは購買を決めるときに口コミなども参考にしますから、そうしたページの用意も必要と思います。良い印象を持ってくれれば口コミでよい評価をしてくれますよね。改善点を口コミでいただいた場合は、今後どのように改善したいかなど、真摯な対応を重ねて、改良につなげていけたらと思います。

口コミ専用のサイトに加えて、フォトジェニックなファンサイトを作ったらどうでしょう。写真やショート動画に強みを持つSNSサイトを利用して、顧客が村の生産物を買って調理した写真や動画をアップすると、何か次の買い物に使えるクーポンを手に入れられるとか、インセンティブを付けるといいと思うんです。