【ねこま手順 ④】商材をどう市場に販売しているのか4Pで整理する

4Pマーケティングミックス
Aマーケティングパート
手順1=自身の商材の特性を知る(扱う商材は、どのようなお客さまが、どのような理由で買っているのか知る)
商材を知る、つまりお客さまがなぜその商材を選んでいるのか理由(KBF)を知るには、顧客と接している販売や営業の担当に聞いたり、口コミやアンケートを調べたりするなどして、その結果を5W1Hで定量的に整理してみる、現状のマーケティング戦略を4Pで整理してみるなどして把握します。
④商材をどう市場に販売しているのか4Pで整理する

【ケーススタディ・森の村が「売上アップホームページ」のデザインにチャレンジ④】商材をどう市場に販売しているのか4Pで整理する編

④森の村の4P編

あらいぐま
あらいぐま

次の手順に進んで、現状のマーケティング戦略を4Pで把握しましょうか。まず、これまでの手順で確認してきたところ、無農薬無添加などの安全安心な食材やおせちは、プロダクトライフサイクルのステージでは成長の終盤から成熟の序盤あたりでしたよね。成長期は売り上げと利益が急拡大する段階で、競合他社も増加しますし、使用する人が増えるにつれ、消費者ニーズも多様化するため、商材の改良や差別化戦略をし、プロモーション戦略でこれらの特長を強調して、自社商材の市場浸透を目指す段階でしたよね。成熟期は売り上げと利益が頭打ちになる段階で、市場の成長が鈍化し、成長期に強調した特長が陳腐化して差別化できなくなるので、上位企業にとってはコスト優位性を生かしてシェアを維持することが重要な課題で、下位企業にとっては生き残りをかけて、特定ターゲットをねらったニッチ戦略が重要になり、プロモーションとしては、無料クーポンや他のサービスの割引など実利的手段に移行する段階でしたよね。KBFならびに4Pはプロダクトライフサイクルがどのステージなのかに左右されますし、また4P同士の整合性も必要であるということを念頭に置きながら、整理して分析を進めることが大事だそうです。

いのしし
いのしし

Product(商品)、Price(価格)、Place(流通)、Promotion(プロモーション)で整理して分析するわけですね。

いぬ
いぬ

そうすると村の特産物や生産品のProduct(商品)は100選の名水仕込みで、無農薬無添加、遺伝子操作なしの安全安心なもので、そのもの自体の風味や味が濃くておいしいし、加工品にしても同様。ただそのため日持ちがしにくい。形も不揃い。

うさぎ
うさぎ

Price(価格)は大々的な宣伝やブランディングをしていないので、他の地域のブランド産品に比べると低価格で、一般的な生産物と同程度。ただ、市場を通して量販店を経由して村外で売られるものは、無農薬で育てるために形が不揃いなことから規格外の扱いで安くなりがち。最初から加工品に回るものもあるのでさらに安くなってしまう。同じ村外に出るものでも道の駅などの直売や、通販での産直、ふるさと納税は無農薬無添加の競合と同じ価格帯を維持できています。

うし
うし

Place(流通)は、直接消費者に販売する(BtoC)ということでいえば道の駅や直売所、生産組合の売店がありますし、一度企業などに販売した先で消費者に販売される(BtoBtoC)ということでいえば市場に出荷して村外の小売りや加工メーカーに流れる間接販売がありますね。あとネットでは商工会サイトでの直販とふるさと納税サイトの間接販売、これは実質BtoCですね。ECモールはふるさと納税以外は出していません。ネット販売は少ないですし、リピーターに支えられている傾向があります。リピーターといえば村内もリピーターといえばリピーターですね。BtoBtoCの村外は安価なものを求めている小売りや加工メーカー、そしてその先の消費者に流れていますから、結果的にリピートしているようなことがあるかもしれませんが、価格以外の商品特性を支持しているからリピートしているっていうことではない感じです。店舗でもネットでもBtoCでは価格以外の商品特性、つまり無農薬無添加で安心安全だしそのもの自体の風味や味が強いなどが支持されて、見た目が不揃いで見劣りしても他の競合商品と同程度か少し高い価格で売れていますが販売ロットは少なくて、多くの商品がBtoBtoCの安価な市場、つまり無農薬で遺伝子操作していないものを育てているので曲がったり、色合いや大きさにばらつきが出たりして規格外の扱いとなり安価な市場に流れてしまっている感じですね。

きつね
きつね

Promotion(プロモーション)は道の駅や直売所、商工会やふるさと納税の直販サイトで、商品の説明をしているくらいです。このプロモーションを少し変えてみると売上アップにつながる余地がありそうではないですか?やはり、環境保護や安心安全という観点で村の商材をブランド化していくのがひとまず急がれるんじゃないでしょうか。

くま
くま

そうですね、手順1は商品を知り顧客を知る、簡単に言うとKBFがミッションだったので、手順2のターゲットを明確化することに進む前に、いったんここまでを整理しましょうか。
村外においては、生産物が高価でも求めている人(健康志向や病気などで無農薬無添加などを求めている人)の潜在需要に届いていなくて、求めていない人に安価に消費されているというミスマッチが起こっているってことですよね。さっきのプロダクトライフサイクルで考えると、無農薬無添加な商品自体は認知されていますから、商品の特長で差別化する成長段階とか、商品自体の差別化が難しくなってきて実利的手段による付加価値付けする成熟期とかって感じですかね。

きりん
きりん

ということは村の安心安全な生産物をもっと知ってもらうことで市場浸透を図ること、加えて、村は現状で下位企業なので特定ターゲットを狙ったニッチ戦略が重要になりますよね。現状で生産物がブランド化されていないというのがマイナスに働いているのかなと思えますので、この村の生産物が安全安心でおいしい商品であること(つまりそのもの自体の差別化)、それに加えてそうした商品を生産できる環境が根付いているこの村の在り方自体(つまり付加価値)もセットでブランディングしていくのがいいのかなと感じます。

うま
うま

そうですね。なるべくお金をかけずに、今ある資源を横断的に有効活用してプロモーションして浸透させていくってことですよね。
ひとことでこうした村と生産物の良さが伝わるようなネーミングとゆるキャラなどをつくって、商品のパッケージをはじめホームページなどでも積極的に露出していきましょうか。

こあら
こあら

サービスエリアや道の駅の通過客に、例えばキッチンカーや簡易な露店で、地元食材で作ったシンプルな料理を安価に提供して知ってもらったり、少しお土産で買ってもらって広めてもらったりするのはどうでしょうか。実際に手に取って食べてもらうとよさが実感していただけたり、伝わりやすかったりするんじゃないでしょうか。BtoC施策はそういうのがいいかもしれません。

さる
さる

BtoBtoCの場合は、また訴求のやりかたが変わりますよね。買い付ける人(中間のB)と消費する人(C)が違いますし、中間のBの中でも現場で買い付ける人(担当者)と買い付け指示を出す人(上長)が違いますからね。それぞれの立場で購買を判断する動機とかが異なってきますからね。現場に近い人、つまり買い付ける人や店舗で売る人にしてみれば、不揃いなものを運んだり、陳列したり、商品の良さを消費者に伝えて通常価格から高めの価格で売り切るっていうことは、手数もかかるし工夫もいるしで面倒なわけじゃないですか、倦厭されますよね。ただ、上長とか管理側になってくるとまた別の視点、他店との差別化で新たな顧客の開拓とか、店舗という容積は決まっている中で利益を増やそうとすれば利幅の大きい商品を売るとか、そういう視点からも判断することになりますよね。

しか
しか

安い商品を次々に補給して回転率を上げる薄利多売路線は限界もありますからね、胃袋産業の場合は。商圏の人口は固定化しているので、胃袋以上に商品は売れません。管理側としては、商圏にあるニーズを掘り起こして、これに訴求する他店にない商材を、妥当なプライスで供給することには魅力を感じるわけで、この妥当なプライスで供給するには現場側の手数や工夫がいりますから、買い手が価格に納得できるような情報提供とかそういう現場の手数を生産側の村サイドがブランディングやプロモーションでバックアップするっていう展開は、今の村のリソースでできるんじゃないかと思うんですよ。そうなってくると、管理側の上長も現場の担当も、村の商材を取り扱いやすくなると思うんですよね。みんなに恩恵、つまり福があるじゃないですか、欲しがっている顧客が手近で買えて、店も手数を減らして新規顧客や売上が増えて、村も売上が増えますし認知度が上がりますよね。BtoBtoCの訴求の一例として考えてみると。

ぞう
ぞう

無農薬無添加、遺伝子組み換えもなしで名水仕込み、だから素材そのものの味や風味が強くておいしいということで販路を拡大していくってことであれば、もともとそういうものに特化したお店やサイトと取引することでそこにすでにできている商流に乗るってこともありですよね。生産側の村サイドがブランディングやプロモーションでバックアップするっていう展開と並行して、こういうお店で取り扱われることで、相乗効果も出てくると思いますし。

とら
とら

そうですね。すでにこういうものを求めている人に対してはそういう目的を持った販路で訴求して、潜在的な需要の掘り起こしにはスーパーとか道の駅とかサービスエリアで訴求するのはいいかもしれませんね。

ねこ
ねこ

需要の掘り起こしという意味ではSNSで映え的な要素で訴求するのもいいんじゃないですか?村には映えの要素がたくさんありますよね、雲海とか、日の出日の入り、蛍、星空、春夏秋冬の自然、村の伝統的な行事、いろいろいろいろ。村にはさまざまな年齢層で喜んでいただけそうな商材ってたくさんあるので、おせちもそうですし、映えを入り口に村を知ってもらう、興味を持ってもらってサイトに来てもらう、そこで村や生産物の魅力を知ってもらう、共感してもらえると周囲に広めてもらえるっていう展開もいいのかなと思います。

にわとり
にわとり

ところで村の商材を買ってくれる人たちについてこれまで情報を整理したので、このあたりで商材を詰め合わせたおせちについて考えてみると、無農薬無添加、遺伝子組み換えを使わない、名水仕込み、だから素材そのものの風味や味が強い、安全安心ってことがお客さまに選ばれている理由なので、これらを損なわないおせちが良いですよね。そうなると日持ちさせるための工夫がいりますよね。お客さまが村内くらいの時間距離なら、無添加おせちでも作り立てをすぐお渡しして食べてもらうような鮮度おせちというか、生おせちみたいなかたちでできると思うんですけれど、遠方だとどうしたらいいか。村には最新鋭の設備はないですし、あったところで流通環境やお客さまの保存環境に依存する部分もありますし。

ぱんだ
ぱんだ

鮮度おせちというか、生おせちというか、そういうことなら極力素材で届けてしまうっていうのはどうですか。縁起の良い素材そのものをセットにして焼肉とかすき焼き、お鍋やバーベキューの素材として卓上で調理してもらうっていう仕立てはどうですか?自宅で洗ってカットした縁起の良い素材を大皿に盛りつけて卓上に並べると、きちんとおせち風に映える演出にしませんか?そもそも縁起の良い素材が日持ちするようにお砂糖とかお酢、お塩なんかを多めに入れて調理してきたという側面もあるので、素材そのものが今の冷蔵技術とか配送網とかで数日間おいしさがもつのであれば、調理を省いて、各家庭の好みによってバーベキューなり、お鍋なりにしてもらえばいいんじゃないですか?

ぺんぎん
ぺんぎん

それもありですよね。だったら普段の鍋と何が違うんだってことにならないように、村のお薬師さまで祈願した切り紙ふうの笹の葉飾りをセットに入れたらどうでしょう。食材と一緒に盛り付けると、いかにも一年の多幸を願って食べるおせちであるといった演出ができて雰囲気が出ますよね。そもそも笹も日持ちさせるために入れられてきた昔からの素材ですし。薬師さまなので、健康長寿的にもご利益が伝わりやすくて良いですよね。

ぶた
ぶた

あ、お薬師さまにご協力いただくのもありってことでしたら、どうしてもパックを開けてお重に詰めるだけで手軽にしたいという需要もあると思いますので、薬膳的なおせちってどうでしょう。年末年始の暴飲暴食をデトックスできるような食材と調理法で、無添加で調理して、真空パックで1週間くらい冷蔵できるようにできたらいけそうじゃないですか?それで、お薬師さまの笹の葉飾りをセットに入れるっていうのもありじゃないでしょうか。ベースに素材の安心安全もありますし。

いのしし
いのしし

森の村のおせちですと、農産物や酪農製品が中心ですよね。健康長寿のためにバランスよくってことになると、海のものも欲しいなという需要もあるような気がします。両方入っていたほうがお客さま受けがよく売上も伸びるような気がします。ですので、森の川の下流にある隣の海の村から、海の豊かさを維持するために、森の豊かさをキープしてほしいということで姉妹都市締結に基づく環境活動をしているじゃないですか。その辺のストーリーも紹介しながら海の村の安全安心に配慮した海産物も取り入れたいところなんですが、取り組みに賛同していただいて提供いただくことは可能なんでしょうか?

あらいぐま
あらいぐま

私はこの森の村の住民ですが、隣の海の村の海産組合で働いていまして、この森の村の悩みは、隣の海の村の悩みに似ていますから、きっと賛同が得られて前向きな取り組みになると思います。海の村では、森の村の環境保護活動の恩恵で自然の栄養分が豊富でありながら化学物質の悪影響のない水が流れこんできますから海がとても豊かになって海藻やプランクトンなどが豊富になり、それを求めて魚や貝類、エビなどが集まってきています。そして今、海の村がより一層の環境活動として着目しているのが未利用魚です。網にかかるのですが、これまでは習慣的にあまり食べてこられず、捨てられていたようなものです。ですが、それではよくないですので、どうにか食卓に広めたいと考えていたところで、ただ、良い環境で育ったものですから添加物などはあまり加工の段階で使いたくないということで、昆布などのうまみ成分たっぷりの海藻と未利用魚で海産漬けにする話が出ているところなんです。そういうことなら昆布も入っていますから、お正月ぽくて、おせちの一品に良いのではないかと思うんです。ほかの海産物ですと海の村もすでにふるさと納税とかでもしていますから、調整が必要になってきますし。

うさぎ
うさぎ

いろいろちょうどいいですよね。タイミング的にも、商材の背景とかそのストーリーも、商材自体も。今お話ししているおせちのコンセプトと合っています。

いぬ
いぬ

では、そもそも村の生産物ならびに村自体をブランド化していないので認知度が低いことが需給関係のミスマッチの温床となっていたり助長したりしている感じなので、安全安心な村の生産物とその背景にある環境保護のストーリーを周知してブランドを形成していく一つのツールとしておせちを売るためのサイトを作って、これを起点に、おせちをショーケースとして素材ひとつひとつの良さや生産のストーリーを伝えながら、各商材へのタッチポイントを増やしていく、そういう営みができている村の環境活動などのストーリーも紹介していきながら共感できるタッチポイントを増やしていく、共感できるタッチポイントを増やすという意味では同時並行でSNSなどで村の自然や景観、生産過程などの一コマの映えを背景のストーリーを添えて発信していく、共感してくれた方がまた周囲に発信してくれて共感が共感を呼ぶ広がりを意識した仕組みをつくる。ここで念頭に置くのは安全で安心な環境を保全しながら生産されている安心安全な生産物を買いたいという人たちのKBFを満たすものでなければならない、ということですね。

きつね
きつね

そうですよね。ブランド名はめぐりんでどうでしょうか?
循環型で持続可能な森の村の環境で生産していること、身体の中をよい栄養素がめぐること、こうした実態に即して、そこから転じた良い気持ちがめぐること、みんなに福がめぐること、などいろんな良いことを含んだネーミングと思います。顧客がなにか明るい気持ちを想起するような感じも含んでいませんか?できれば、横断型ブランド、つまり森の村だけのブランドでなく、規格を満たせばどの地域商材でも参加が可能な、循環型で持続可能な環境を守りながら安全安心なものを生産する横の広がりが大きくなっていけばいいなと思っています。

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